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炎症と栄養

炎症性メディエーターと三大栄養素の代謝(総説)

森脇久隆

栄養-評価と治療 Vol.28 No.3, 18-20, 2011

SUMMARY
慢性炎症や重症急性炎症は,栄養素代謝異常を惹起し栄養障害の誘因となる。このような栄養素代謝異常は炎症性メディエーター,特にTNF-α,IL-1,IL-6の過剰産生による。これらのメディエーターはグルコースの燃焼を抑制,アミノ酸・脂肪酸燃焼を促進し,骨格筋や脂肪組織を崩壊させる。栄養アセスメント上では,上腕周囲径,上腕三頭筋周囲径,上腕三頭筋皮下脂肪厚が減少する。

KEY WORDS
■炎症性メディエーター ■TNF-α ■IL-1 ■IL-6 ■栄養素代謝

Ⅰ はじめに

 原因を問わず慢性炎症性疾患や重症急性炎症が栄養素代謝の偏倚を惹起し,栄養障害の誘因となることはよく知られている。また,このような栄養素代謝異常のメカニズムはいわゆる炎症性メディエーターの過剰産生に起因するものとみなされる。本稿では炎症性サイトカインに焦点を絞り,全身の栄養状態に与える影響と三大栄養素の代謝に与える影響について概説する。

Ⅱ 炎症に伴う全身栄養代謝の変動

 炎症時の栄養代謝は外傷や飢餓にも類似した代謝亢進状態(hypercatabolic state)の特徴を有している1)。図1に示すように各種炎症性サイトカインのうち腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)-α,インターロイキン(interleukin;IL)-1,IL-6の役割が大きい。

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