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第33回日本栄養アセスメント研究会発表演題より

介護老人保健施設におけるMNA®による栄養評価と骨密度,食事量との関連

百木和宮田早織喜多未耶子田中理恵羽生大記

栄養-評価と治療 Vol.28 No.1, 28-31, 2011

SUMMARY
身体計測,血液生化学的指標,基本的ADL(bADL),骨密度,併存疾患指数,食事量との関連を調査し,MNA®の有用性について検討した。MNA®の点数分類のうち,栄養状態不良群はほかの2群に比べbADL,身体計測,骨密度の値が有意に低下していた。また,栄養状態良好群,栄養不良リスクあり群,栄養状態不良群の順に摂食率が低下する傾向がみられた。MNA®は高齢者の身体状況全般を反映するツールとして有用な可能性が考えられる。

KEY WORDS
■ MNA® ■身体計測 ■骨密度 ■高齢者 ■基本的ADL(bADL)

Ⅰ 緒 言

 高齢者の低栄養状態は,日常生活活動度(activity of daily living;ADL)や生活の質(QOL)を低下させるだけでなく,創傷治癒の遅延や免疫能を低下させ,生命予後を左右することが知られている1)。また,入院中の高齢者あるいは施設入居高齢者の30~50%に低栄養状態が存在することが報告されている2)。このため,早期に簡便で的確な栄養評価を実施することが重要である。しかし,高齢者はサルコペニアに代表されるように加齢に伴う特有の低栄養状態を示すため,主観的包括的栄養評価(SGA)などの代表的な栄養スクリーニング法で栄養不良を見落としなく拾い上げられているのかは定かではない。予備能力の低い高齢者にとって,包括的な栄養評価を行うことは特に重要であるが,施設によっては栄養スクリーニングが行われておらず,体重の変化のみで栄養状態を判断しているところも多いと考えられる。
 Mini Nutritional Assessment®(MNA®)は,65歳以上の高齢者を対象としてGuigozらによって作成された栄養評価法である3)。設問内容として,認知症などの精神疾患の有無,ADLに関する項目,栄養状態を反映する身体計測の項目を含み,高齢者の心身の特徴を反映できる内容となっている。欧米では以前より広く用いられており4),わが国でも施設入居高齢者や地域在宅高齢者において妥当性が確立されてきている5)-8)。さらに近年,MNA®-Short Form(MNA®-SF)9) が作成され,効果的なスクリーニングツールであることが確認されている。しかし,MNAはまだ十分に汎用されているとはいえず,また,日本人はスコアが低めに判定されやすいなどの報告10)もあり議論がなされている。
 今回,介護老人保健施設入居者を対象に,MNA®と身体計測,血液生化学的指標, 基本的ADL(bADL), 骨密度, 併存疾患指数,食事量との関連を検討した。

Ⅱ 対 象

 大阪市東住吉区の介護老人保健施設たちばなの入居者のうち,同意が得られた37名(男性14名,女性23名,平均年齢80.1±9.8歳)を対象とし,2009年9~12月に調査を行った。主疾患は,脳血管疾患(n=18,48.6%), 認知症(n=5,13.5%),骨折既往(n=8,21.6%),心疾患(n=2,5.4%),廃用症候群(n=1,2.7%),糖尿病,腎障害(n=2,5.4%),癌(n=1,2.7%)であった。また,対象者の要介護度の内訳は要介護1が4名,要介護2が5名,要介護3が8名,要介護4が12名,要介護5が8名であった。なお,本研究は大阪市立大学生活科学部・生活科学研究科研究倫理委員会の審査を受けており,対象者およびその家族には文書による同意・承諾を得て実施した。

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