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特集 糖脂質代謝連関と老年病

Ⅱ. 臨 床 1. 糖尿病患者の脂質異常症

平野勉

The Lipid Vol.31 No.2, 42-48, 2020

糖尿病はさまざまな血管合併症を引き起こし,生命予後を不良にする冠動脈疾患や脳卒中など動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)も多発する.この原因には高血糖以上に血清脂質異常症が深く関与している.本邦での疫学研究において2型糖尿病の冠動脈疾患発症に関与する危険因子としてトリグリセリド(TG)やLDLコレステロール(C)がHbA1cより上位にランキングされている.糖尿病における脂質代謝異常の中核はTGを輸送するTG-rich lipoprotein (TRL)の過剰分泌と異化障害であり,そこにはインスリン作用不足が深く関与する.TRLの増加はその中間代謝産物であるレムナントを上昇させるとともにLDLやHDLの質的変化を引き起こし動脈硬化促進的に作用する.
「KEY WORDS」インスリン,トリグリセリド,コレステロール,脂肪酸,アポリポ蛋白

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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