慢性的な高血糖状態,炎症,低酸素,酸化ストレス下では,単糖による蛋白質や脂質,核酸のアミノ基の非酵素的糖化反応が進み,循環血液中や組織で終末糖化産物(AGE)が促進的に形成,蓄積される.AGEは,細胞表面受容体であるRAGE(receptor for AGE)によって認識され,さまざまなサイトカインや増殖因子の発現を誘導することで炎症反応や血管新生を惹起させてがんの増殖と転移に関与する.さらに,食事や喫煙に由来するAGEの過剰摂取が,がんの発症リスクとなりうることも明らかにされつつある.AGE-RAGE系は,がんの新しい治療標的となりうるかもしれない.
「KEY WORDS」がん,食事,AGE,RAGE,糖尿病