脂質分子の生体機能への重要性が明らかにされるにつれて脂質分子をターゲットとしたさまざまな研究が行われるようになった.質量分析イメージング(IMS)は観察対象の標識の必要なしに,組織・細胞レベルでのさまざまな脂質の生体内分布を得ることができる.これまでに多くのイオン化法,固定方法が開発されているが,観察する物質によって最適な手法の選択が必要である.本項では脂質分析に用いられるさまざまなIMSの特徴と応用例を紹介し,その将来性について解説を行う.
「KEY WORDS」質量分析イメージング,MALDI,DESI,SIMS