特集 生体制御にかかわる多彩なリポクオリティ~基礎から病態まで~
7. 細胞内オルガネラのリポクオリティ制御
The Lipid Vol.30 No.4, 58-66, 2019
細胞内オルガネラは脂質二重膜で囲まれた構造体である.質量分析や脂質プローブを利用した解析などから,オルガネラが特徴的な膜脂質組成(リポクオリティ)を有していることが明らかとなってきた.本稿では,ゴルジ体の特異的脂質環境を利用して活性化する自然免疫分子STING,細胞膜とエンドソームに局在するリン脂質ホスホイノシチドの差を利用して,異なる自然免疫応答シグナルを発生するTLR4をとりあげ,オルガネラのリポクオリティが制御する生命現象を解説する.また,脂質プローブと近傍蛋白質ビオチン化タグを組み合わせた,オルガネラ局在蛋白質の新規同定法についても紹介する.
「KEY WORDS」ホスファチジルセリン,ホスホイノシチド,リサイクリングエンドソーム,STING,TLR4
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。