特集 生体制御にかかわる多彩なリポクオリティ~基礎から病態まで~
5. オキシリポクオリティによる細胞死制御
The Lipid Vol.30 No.4, 42-50, 2019
リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx4)は生体膜に酸化により生じたリン脂質ヒドロペルオキシドをグルタチオン依存的に直接還元する酵素である.GPx4の欠損や,GPx4活性の低下は,リポキシトーシスやフォロトーシスなどのカスパーゼ非依存性の脂質酸化依存的な新規細胞死を引き起こすことが明らかとなった.生体膜のリポクオリティの変化は,がん細胞における上皮間葉転換による抗がん剤のフェロトーシスの感受性の変化に関与していること,オキシリポクオリティの違いにより,細胞死のシグナル経路が異なることも明らかになりつつある.喫煙が原因で起きる慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症にフェロトーシスが関与することも明らかとなった.
「KEY WORDS」フェロトーシス,リポキシトーシス,GPx4,上皮間葉転換,COPD
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