特集 生体制御にかかわる多彩なリポクオリティ~基礎から病態まで~
1. 脂肪酸クオリティによる炎症の制御
The Lipid Vol.30 No.4, 13-19, 2019
生体内には多様な脂肪酸分子種が存在し,その質(リポクオリティ)の違いや代謝バランスの変化が,さまざまな炎症・代謝性疾患の背後に潜む重要な要素であることが示唆されている.例えば,EPAやDHAなどω3脂肪酸が体内で活性代謝物に変換され,積極的に抗炎症作用を発揮していることなどが注目されている.そもそも炎症は外傷や感染症などに対する重要な生体防御系であるが,一方で生体は炎症を適切に収束させることによりホメオスタシスを維持している.本稿では,生体内の脂肪酸バランスが炎症・疾患制御や組織ホメオスタシスに及ぼす影響およびその分子機序について紹介する.
「KEY WORDS」リポクオリティ,ω3脂肪酸,抗炎症作用,脂質メディエーター,リピドミクス
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。