特集 わが国の最近の生活習慣病コホート/ビッグデータ研究と臨床試験
Ⅱ.患者コホート研究
2.糖尿病リスクエンジンの開発と費用効果分析への応用―Japan Diabetes Complications Study(JDCS)―
The Lipid Vol.30 No.3, 33-41, 2019
医療の質の向上,財政維持,医薬品・医療機器開発は,経済学的な意味でしばしば対立する課題であり,その解決策の1つとして費用対効果評価の導入が進められている.JJリスクエンジンは,日本人2型糖尿病コホート研究から得られたデータに基づいて,血糖・血圧・脂質コレステロールを通じて,薬剤がどれくらい合併症を予防できるか,別の薬剤に比べ,どの程度費用対効果があるかをシミュレートすることができるExcelツールである.JJリスクエンジンの入力項目のうち重要なのは,比較する二種類の薬剤がもたらすHbA1C,収縮期血圧,BMI,non-HDL コレステロールの変化と薬剤コストの指定である.これらを入力することによって,糖尿病合併症が発生する確率を計算し,生存年,QALY,コスト,ICERといった費用対効果の指標を出力することができる.
「KEY WORDS」ICER,アプレイザル,医療経済,QALY,リスクエンジン
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