<< 一覧に戻る

特集 わが国の最近の生活習慣病コホート/ビッグデータ研究と臨床試験

大規模医療データサイエンスのさらなる発展を期待して

―特集にあたって―

曽根博仁

The Lipid Vol.30 No.3, 11, 2019

医学と現場医療がevidence-based medicine(EBM)時代に入って久しい.現在,多くの疾患についてガイドライン作成が花盛りであり,現場診療の標準化やレベルアップに大きく貢献している.そのなかで脂質異常症や糖尿病,動脈硬化をはじめとする生活習慣病分野は,いうなればEBMの先駆けとして,疫学や無作為化比較試験を含む大規模臨床研究が,特に活発に行われてきた先進分野である.
生活習慣病診療においては,患者が症状や転帰の改善を症状として実感できないことが多いため,さまざまな代替エンドポイント改善をもって,遠い将来の健康寿命延伸や生活の質向上を予測している.したがって患者や国民が,その予測に科学的裏付けを求めるのは自然である.
また生活習慣病診療はその名が示すように,生活習慣に対する指導介入が不可欠であるが,患者にとって生活習慣を変えるには相応の努力が必要なため,医療者としては,その努力が効果に見合うものであるかを,説得力をもって説明する必要もある.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る