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症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ

第129回 AGPAT2遺伝子変異による先天性全身性脂肪萎縮症の臨床的特徴

日下部徹海老原健中尾一和

The Lipid Vol.30 No.2, 98-102, 2019

脂肪萎縮症は,摂取エネルギー量とは無関係に,先天的あるいは後天的成因により,全身性あるいは部分性に脂肪組織が萎縮して減少・消失する疾患の総称である.そのため典型的には,脂肪萎縮症は,先天性全身性脂肪萎縮症(CGL),後天性全身性脂肪萎縮症(AGL),家族性部分性脂肪萎縮症(FPL),後天性部分性脂肪萎縮症(APL)の4つに分類される(表❶).
脂肪萎縮症では,脂肪組織の減少・消失の進行とともに,さまざまな代謝異常(症)の合併が認められる(図❶).CGLでは,出生時あるいは乳児期より,全身の脂肪組織が消失し,血中レプチン濃度は低下している.食欲は旺盛になり,幼児期あるいはそれ以降の比較的早い時期に,インスリン抵抗性,糖尿病,高中性脂肪血症,脂肪肝などを合併し,糖尿病合併症,高中性脂肪血症による急性膵炎,脂肪肝から進行した肝硬変,肥大型心筋症などにより若年で死亡するケースが多く,難治性疾患と考えられてきた.
これまでに,日本におけるCGLの主な原因遺伝子として,Berardinelli-Seip congenital lipodystrophy type 2(BSCL2)遺伝子が報告されてきた1).今回,1-acylglycerol-3-phosphate O-acyltransferase 2(AGPAT2)遺伝子変異によるCGL症例を新たに経験したので報告する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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