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症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ

第128回 コレステロール塞栓症―好酸球数増加は腎死のリスク因子である―

持田泰寛守矢英和小林修三

The Lipid Vol.30 No.2, 92-97, 2019

コレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization;CCE)は大動脈の粥状硬化病変がさまざまな臓器に飛散し炎症・虚血症状を引き起こす疾患である.この症候群は1862年にPanumらにより初めて提唱され1),1945年にFloryらによりコレステリンが小/中動脈に閉塞し炎症を引き起こしていることを解剖学・病理学的にまとめられた2).その後FineらがCCEをきたした221人の臨床的特徴をまとめ,男性・60歳以上・喫煙患者・高血圧・動脈硬化病変(虚血性心疾患,脳血管障害,末梢動脈疾患),腹部大動脈瘤を有する患者に有意にコレステール塞栓症が発症していることを報告している3).最近,小松らが虚血性心疾患を疑う患者に経皮的冠動脈カテーテルを施行する際に,血流維持型大動脈内視鏡を用いて動脈内を観察し,動脈内の粥状硬化病変から多くのコレステリン結晶の複合体が自発的に飛散していることを証明しており4),CCEが無症状に起こっている可能性を示唆した.
CCEの治療には,誘因となった抗凝固薬の中止,ステロイド療法,LDLアフェレシスなどがあるが,現時点で定まった治療プロトコールは存在しない.われわれはコレステロール塞栓症による病態の主座である虚血・炎症コントロールのために,積極的にステロイド療法やLDLアフェレシスを施行している.
しかしながら,上記治療にもかかわらず,腎死に至る患者が多数存在する.腎死のリスクとしては,高血圧,糖尿病,既存の腎機能障害,心不全が報告されているが5, 6),われわれは末梢血好酸球上昇も腎死に関与しているのではないかと考えた.
下記には早期に診断し治療に至った好酸球数が正常の症例(①)と治療するも死亡に至った好酸球数高値の症例(②)の2例報告する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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