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症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ

第123回 PCSK9―家族性高コレステロール血症の病態および治療への関与―

太田直孝堀美香宮本恵宏斯波真理子

The Lipid Vol.29 No.1, 106-112, 2018

家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)は, 高LDLコレステロール(LDL-C)血症,アキレス腱肥厚,若年性冠動脈疾患を特徴とする遺伝性疾患である.わが国ではヘテロ接合体患者が200~500人に1人と高頻度であり,30万人以上の患者がいると推定される.FHの原因として,現在まで3つの遺伝子の変異が報告されている.①LDL受容体(LDLR)遺伝子変異(FH1),②アポリポ蛋白B(APOB)遺伝子変異(FH2), ③proprotein convertase subtilisin/kexin type 9(PCSK9)遺伝子の機能亢進型変異(FH3)である.1973年にGoldsteinとBrownは,LDLRを発見し1),その後FHの成因を解明し1985年にノーベル医学生理学賞を受賞した.FHのなかで,FH3についてはLDLR遺伝子,APOB遺伝子のどちらにも異常を認めないフランス人家系における連鎖解析から2003年,Abifadelらにより第3の原因遺伝子としてPCSK9遺伝子が同定された2).われわれは,これまでに各遺伝子変異と表現型について検討を行い,PCSK9遺伝子V4I変異について, 単独変異では臨床症状は軽度であるがLDLR遺伝子変異と重なることにより重症化することを世界で初めて報告した3). 本稿では,PCSK9遺伝子変異とFHについて,LDLR遺伝子変異とPCSK9遺伝子V4I変異のダブルヘテロ変異を有する一家系とともに述べてみたい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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