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特集 エピゲノムとメタボリズムのクロストーク

2. 脂肪細胞の褐色化におけるリジンメチル化酵素の役割

長野学大野晴也梶村真吾

The Lipid Vol.28 No.3, 19-25, 2017

褐色脂肪組織(BAT)は非ふるえ熱産生を介したエネルギー消費を行っており,体温調整だけでなく肥満症や糖尿病への治療応用に期待を集めている.褐色脂肪細胞は,主に肩甲骨間に存在し胎児期より形成されている古典的褐色脂肪細胞と,長期の低温刺激などの環境要因によって白色脂肪組織中に出現する誘導性の褐色脂肪様細胞(ベージュ脂肪細胞)とに大きく分けられる.転写調節制御因子であるPRDM16 や,ヒストン修飾因子であるEHMT1は古典的褐色脂肪細胞およびベージュ脂肪細胞の発生に大きくかかわっている.本稿では,これらの細胞の分化におけるPRDM16-EHMT1転写複合体の役割について述べる.また,褐色脂肪細胞の分化・機能を制御するエピジェネティック因子に関する最新の知見についても概説する.
「KEY WORDS」褐色脂肪組織(brown adipose tissue;BAT),ベージュ脂肪細胞,PRD1-BF1-RIZ1 homologous domain containing 16(PRDM16),euchromatic histone-lysine N-methyltransferase 1(EHMT1)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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