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症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ

コレステロール塞栓症の患者背景・予後―成因による違い―

小室あゆみ門田一繁

The Lipid Vol.27 No.3, 86-89, 2016

「はじめに」コレステロール塞栓症(cholesterol crystal embolization: CCE),主に大動脈の粥状硬化巣の破綻により,コレステロール結晶が飛散して全身の末梢動脈を閉塞することにより生じる疾患である.1945年にFloryら1)によって病理学的に初めて報告された.血管内カテーテル操作や心血管手術,抗凝固療法などの医原性因子と,加齢,高血圧症,糖尿病,脂質異常症,喫煙などの動脈硬化性因子が危険因子としてあげられており,動脈硬化性疾患の増加や血管内治療の発達により,今後さらにCCEは増加するものと思われる.塞栓症状としては,網状皮斑,Blue toe症候群などの皮膚病変や急性腎障害が多く,そのほか,消化器系,中枢神経系など全身に生じる.治療法としては,抗凝固療法の中止や動脈硬化性疾患の治療強化,ステロイド治療,プロスタグランジン製剤,LDLアフェレーシスなどが報告されているが確率された治療はなく,一般的に予後不良とされている.本稿では,コレステロール塞栓症の症例を提示するとともに,成因により特発性,カテーテル関連,心血管手術関連の3群に分類し,患者背景や予後に関して比較検討する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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