見る脂質のページ
脂質代謝異常 ファブリー病と臓器障害
The Lipid Vol.26 No.4, 4-9, 2015
「はじめに」ファブリー病は1898年にドイツとイギリスの2人の皮膚科医(ドイツ;Johannes Fabry,イギリス;William Anderson)により最初に報告された(個別に報告),腎臓や心臓を中心とする各臓器にさまざまな臨床症状を呈するX連鎖性遺伝疾患である.ライソゾームに存在するα-ガラクトシダーゼ(α-galactosidase;α-Gal)(EC3.2.1.22)とよばれる加水分解酵素の活性低下により,その主たる基質であるglobotriaosylceramide(Gb-3)が蓄積することによって発症する先天代謝異常症である.Gb-3は主に血管内皮細胞,平滑筋細胞,汗腺,腎臓,心筋,自立神経節,角膜などに親和性を有するため,これらの組織・臓器に蓄積し,関連した症状が出現してくる1).
「ファブリー病の分類」男性の場合,典型的な症状を呈する古典型と,比較的臓器特異的な症状を呈する亜型(心型,腎型)に分類される(表1)2).女性では通常このような分類はしない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。