糖尿病網膜症に対するレーザー光凝固治療の有効性は,1980年代に確立され1),多くの患者の失明を防いできた。一方,糖尿病黄斑浮腫に対して適応のあるVEGF(vascular endothelial growth factor)阻害薬が,糖尿病網膜症の悪化も防ぐことが明らかとなり2),米国では糖尿病網膜症に対してもVEGF阻害薬治療が承認され,糖尿病網膜症に対するレーザー光凝固治療の今後は揺らぎ始めている。一方で,従来のレーザー光凝固とは異なる,新しいレーザー光凝固治療も登場し,糖尿病網膜症・黄斑浮腫に対するレーザー光凝固治療は,大きく様変わりしてきている。そこで,本稿では,糖尿病網膜症・黄斑浮腫に対する新しいレーザー光凝固治療を中心に述べる。
「KEY WORDS」汎網膜光凝固,パターンスキャンレーザー,ナビゲーションシステム搭載レーザー,閾値下凝固,選択的網膜光凝固