特集 超高齢社会における糖尿病診療
高齢者糖尿病の低血糖リスク解析
Diabetes Frontier Vol.26 No.5, 584-589, 2015
「はじめに」高齢者の低血糖は加齢とともに,特に80歳以上で増加し,合併症の1つとも考えることができる1)。高齢者における低血糖は認知症をはじめとするさまざまな悪影響をきたし,QOLの低下をもたらす2)。したがって,この高齢者の低血糖はそのリスク要因を調べて,高リスクの患者に対して種々の対策を講ずる必要がある。本稿では高齢者の低血糖の特徴,リスク要因について解説し,そのリスクに基づいた低血糖対策について述べてみたい。
「Ⅰ.高齢者糖尿病の低血糖の特徴」高齢糖尿病患者の低血糖症状は氷山の一角である。高齢者の低血糖,頭がくらくらする,体がふらふらする,めまい,脱力感,ぼやけてみえる,言語不明瞭,動作がぎこちない,眠気,集中困難,仕事の能率が落ちる,混乱,せん妄,意欲低下などの微妙で非典型的な症状で起こる2)。このなかで,頭がくらくらする,体がふらふらするといった症状が高齢者で多いという報告がある3)。これらの症状は低血糖の神経糖欠乏症状である。
「key words」高齢者糖尿病,低血糖,血糖コントロール,認知症
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。