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特集 インスリン分泌促進薬の現状と新たな展望

インスリン分泌促進薬の作用メカニズム

菅原健二清野進

Diabetes Frontier Vol.25 No.5, 556-562, 2014

「はじめに」膵β細胞からのインスリン分泌は種々の細胞外因子によって調節を受けるが,生理的に最も中心的となる刺激はグルコースである。細胞内に取り込まれたグルコースは細胞質やミトコンドリアで代謝を受け,ATPが産生される。ATP感受性K+チャネル(KATPチャネル)は細胞内ATP濃度の上昇を感知すると閉鎖し,細胞膜が脱分極する。その結果,電位依存性カルシウムチャネル(voltage-dependent calcium channel:VDCC)が開口し,細胞外から細胞内へカルシウムイオンが流入,これが引き金となり,インスリン顆粒は細胞外へ開口放出される(図1)1)。さらに,インスリン分泌はホルモンや神経入力によりグルコース濃度依存的に増強することが知られているが(ホルモンや神経入力によるインスリン分泌増強経路),食事応答性に消化管内分泌細胞から分泌されるインクレチン[GLP-1(glucagon-like peptide-1)およびGIP(gastric inhibitory polypeptide)]は重要な役割を果たしている(図1)。
「key words」スルホニル尿素薬/グリニド薬/DPP-4阻害薬/GLP-1受容体作動薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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