特集 小児・思春期糖尿病の最近の動向
小児1型糖尿病における糖尿病性ケトアシドーシス治療の基本
Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 666-671, 2012
「I. DKAの病態」糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis: DKA)は, 血液中のインスリンの絶対的または相対的な欠乏と, 上昇した拮抗ホルモンすなわちカテコラミン・グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモンの作用によって生じる. 血清インスリン濃度低値と拮抗ホルモン濃度高値により, グリコーゲン分解と糖新生が亢進し, 末梢組織でのブドウ糖の利用が障害され, 高血糖となる. また脂肪分解が進み, ケトン体が産生され, 代謝性アシドーシスとなる(図1)1). DKAの臨床症状を表1 2)に示す. 「II. DKAの診断」DKA診断の生化学的基準は, (1)高血糖(血糖値>200mg/dL以上), (2)静脈血液ガス分析でpH<7.3または重炭酸<15mmol/L, (3)血中ケトン体高値(β-OHBA>300μmol/L)または尿ケトン体陽性である2). DKAの重症度はアシドーシスの程度により, 軽症: pH<7.30または重炭酸<15mmol/L, 中等症: pH<7.20または重炭酸<10mmol/L, 重症: pH<7.10または重炭酸<5mmol/L, に分類される2).
「key words」糖尿病性ケトアシドーシス,インスリン,脳浮腫
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