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特集 メトホルミンの現況と新たな展望

発癌抑制作用について

太田明雄田中逸

Diabetes Frontier Vol.23 No.1, 71-77, 2012

「はじめに」肥満や糖尿病が癌の発症や進展に関連することが注目されている. 特に糖尿病患者では男女ともに肝癌の発症が最も多い. インスリン抵抗性や高インスリン血症は内臓脂肪や脂肪肝の増悪を招くとともに, 酸化ストレスを亢進させることから, その病態を基盤として癌の発症増加が予想される. 近年, メトホルミンの糖新生抑制とインスリン抵抗性改善の機序がAMP活性化キナーゼ(AMP-activated protein kinase: AMPK)に関連することが明らかにされた. さらにAMPKを介した抗腫瘍効果もメトホルミンの有用性の1つとして注目されるようになった. そこで本稿ではメトホルミンの発癌抑制作用について概説する. 「I. 糖尿病における癌死亡率」日本人97,771名を対象とした糖尿病と癌発症リスクの関連をみたコホート研究1)では, 糖尿病を有する男性の肝癌発症リスクは非糖尿病者に比して, HR=2.24(95%CI: 1.64-3.04), 膵癌HR=1.85(95%CI: 1.07-3.20)であり, 女性も肝癌HR=1.94(95%CI: 1.00-3.73)と有意な上昇がみられた.
「key words」メトホルミン,インスリン抵抗性,mTOR,AMP活性化キナーゼ

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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