基礎講座 膵β細胞の再生医療
臓器間ネットワークを利用した膵β細胞再生
Diabetes Frontier Vol.21 No.6, 715-719, 2010
「はじめに」 近年, アディポカイン研究の発展など, 液性因子による代謝調節の重要性が明らかとなっている. この機構は, 一臓器での代謝情報を液性因子が他臓器に伝達することによりその臓器の代謝状態を変化させる臓器間ネットワークと考えることができ, これまでに多くの臓器間ネットワークが明らかにされてきた. 膵β細胞においてもこれまでに, インクレチンなどの消化管からのシグナルによる制御機構が知られていたが, 最近の研究によってこれまであまり想定されていなかった膵外組織からのシグナルが膵β細胞量を制御することが明らかになってきた. われわれの研究室では, 神経シグナルが臓器間の代謝連関に重要な役割を果たしていることを新たに見い出し1)-4), 報告してきた. さらに最近, 肝臓からの神経シグナルが中枢神経を介して膵β細胞を制御する機構が存在することを明らかにした5). さらにこの機構を活性化することにより, インスリン欠乏性糖尿病マウスの血糖値を改善することに成功した.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。