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糖尿病と感染症

Ⅲ 感染症,炎症とインスリン抵抗性,2型糖尿病 ヘリコバクター・ピロリ感染,胃癌と糖尿病

池田文恵清原裕

Diabetes Frontier Vol.21 No.3, 336-340, 2010

「はじめに」わが国の人口動態統計によれば, 胃癌の年齢調整死亡率は, 診断および治療技術の進歩に伴い1970年以降着実に低下している. しかし, 罹患率でみると, 胃癌はいまだに悪性腫瘍のなかで男性の第1位, 女性の第3位を占めており, 頻度の高い悪性腫瘍の1つであることに変わりはない. これまでの多くの研究結果から, ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:H.pylori)感染は, 胃癌の最も強力な危険因子とされている1). しかし, H.pyloriに感染した者が必ずしも胃癌に罹患するとは限らないことから, H.pylori感染下で胃癌発症のリスクを増大させる他の要因が存在することが示唆される. 一方, 高血糖もしくは糖尿病が, 動脈硬化性疾患のみならず悪性腫瘍の危険因子である可能性について, 長年にわたり論じられてきた2). しかし, 胃癌との関係について検討した報告はほとんどなく, 一定の見解が得られていない. そこで本稿では, 福岡県久山町で長年にわたり継続中の前向き追跡研究(久山町研究)の成績を中心に, 高血糖/糖尿病と胃癌発症との関係について述べる.

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