特集 生活習慣病と骨粗鬆症 ―最新の基礎研究と臨床のトピック―
Ⅰ.生活習慣病としての骨粗鬆症 1.遺伝的素因と骨粗鬆症―GWASからみた低骨密度と骨折―
THE BONE Vol.31 No.4, 17-25, 2018
骨粗鬆症は生活習慣病と同様に多因子疾患として知られ,その病因は遺伝的素因と環境要因が主となる.骨粗鬆症は骨強度が低下することを特徴とし,骨強度は骨密度と骨質により規定される.遺伝学的研究から骨密度の50~70%は遺伝的素因によって規定されると考えられている.今までに多くの研究者が骨粗鬆症の疾患感受性遺伝子の探索と同定を目的として一塩基置換遺伝子多型(single Nucleotide polymorphism:SNP)と低骨密度,骨折,骨粗鬆症発症との関連解析が行われた.近年ではゲノムワイド解析(genome-wide association study:GWAS)によりその全貌が明らかになりつつある.これら解析によりWntシグナル伝達因子をはじめとした骨粗鬆症の成因に関与する疾患感受性遺伝子が明らかとなり,治療標的としての応用がなされている.今後も,遺伝医学研究の進歩により骨粗鬆症発症に関与する疾患感受性遺伝子が明らかとなることが期待される.
「KEY WORDS」SNP,GWAS,Wntシグナル,LRP5,スクレロスチン,MTHFR,葉酸
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。