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ホネのかたち

骨を見る立ち位置(1)-まずは三次元から-

遠藤秀紀

THE BONE Vol.30 No.3, 87-90, 2016

骨の形が古来形態学者を魅了してきた理由はなんであろうか.理由などないと自問を切り上げてしまう論法は後段に委ねるとして,史的に考察するならば,いくつかの明瞭な答えを引き出すことができる.
ひとつには,その時代その時代の動物を研究する最前線で,学界での論議を背負うに足る信頼性を約束する実体が,骨という構造にあったということができる.たとえばリンネの時代,キュヴィエの時代,サンチレールの時代,有無をいわせずに長期間の検証に耐えて保存可能な事物は骨しかなかったといえる.不滅を誇る硬質の塊と,それを絵画に残す熱意.これが,昔も実は今も変わらぬ進行形で,人間が骨を見続ける最大かつ単純な要因だ.描画し,図版に残しながら考察する道筋が発展したがゆえに,当時はもちろん現在でも,私たちはかの時代の人々の骨の形の受け止め方を正確に知ることができる1).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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