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特集 がんゲノム医療の現状と展望

特集にあたって

室圭

Pharma Medica Vol.41 No.2, 5, 2024

今号の特集を、「がんゲノム医療の現状と展望」としたことには、少なからず意図がある。
がん薬物療法は、従来の抗がん剤に加えて、2000年以降臨床導入された分子標的治療薬、さらに2010年以降登場したがん免疫療法が、各種固形がんの標準治療を変え、生存成績が大幅に向上した。分子標的治療薬は、がん関連遺伝子異常(変異、増幅、遺伝子融合など)が標的となり(狭義のがんゲノム医療)、がん免疫療法は、DNAミスマッチ修復機能欠損やPD-L1の発現がバイオマーカーとなって、個別化医療が展開されている。
治療成績向上と個別化において、がん発生と増殖のメカニズムの解明とともに分子生物学の進歩、がんと免疫の関連とそのメカニズムの解明、次世代シークエンサーや腫瘍組織・血液中の超高感度遺伝子解析技術をはじめとするゲノム解析等、各種デバイスの進歩・発展、有効薬剤の創薬の進歩、それを評価する臨床試験の進化など、多面的多角的な領域の進歩、進化がその背景にある。つまるところ、この四半世紀で、広義のがんゲノム医療が確立され、臨床腫瘍学は大きく進歩したのである。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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