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特集 移植医療の最前線

心停止後臓器提供

剣持敬

Pharma Medica Vol.40 No.3, 33-36, 2023

心停止後臓器提供(donation after circulatory death:DCD)はマーストリヒト分類で5つのカテゴリーに分類されるが、本邦のDCDは、この分類に当てはまらないケースが多い。本邦では心停止後臓器移植は肝移植2例、膵移植17例、腎移植6,179例が行われている。献腎移植は、改正臓器移植法施行後の脳死ドナーの増加に伴い、脳死下臓器提供(donation after brain death:DBD)での腎移植が多くなっている。成績はDBD群で良好であるが、年齢50歳未満、冷阻血時間(cold ischemic time:CIT)12時間未満の心停止ドナーでは、DBDと同等の成績であった。本邦のDCDの問題点として、人工呼吸器の中止がまれであり、長い死戦期のため臓器機能障害が発生することである。現状では、人工呼吸器の中止による治療撤退が難しく、摘出時~摘出後の臓器機能温存対策が必要である。灌流保存を行い、機能の温存・改善を図る方法やVA-ECMOを用いて、心停止後も臓器の血流を維持し、機能温存を図る方法が試みられている。
「KEY WORDS」心停止後臓器提供,脳死下臓器提供,マーストリヒト分類,灌流保存,VA-ECMO

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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