特集 移植医療の最前線
移植医学と腫瘍学の融合:Transplant oncologyに基づきがんの治療と研究を再定義する
Pharma Medica Vol.40 No.3, 25-31, 2023
移植医学と腫瘍学の融合:Transplant oncologyとは何か?がんの治療と研究を再定義し、飛躍的に発展させる概念・試みとして2014年に初めて日本から提唱された。Transplant oncology は「がん患者の予後および生活の質(Quality of Life)の改善を目的としたあらゆる移植医学および移植外科手術の応用」と定義され、次の4つの柱(four E's)で構成される。
ⅰ. Evolution:がんに対する切除として移植を組み込むことによる集学的治療の進化
ⅱ. Extension:移植手技の応用による従来のがん手術の切除限界の拡大
ⅲ. Elucidation:腫瘍免疫と移植免疫の架け橋による自己・非自己認識システムの解明
ⅳ. Exploration:ゲノミクス解析による発がん・浸潤・転移機構の探究
本稿ではtransplant oncologyに基づき、特に生命維持に不可欠な肝臓に発生する肝・胆道がんの治療体系に肝移植およびその手技が統合されることで、いかに患者の未来を拓くかについて述べる。
「KEY WORDS」肝・胆道がん,肝移植,transplant oncology,切除可能性,腫瘍学的根絶
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。