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特集 再生医療への期待~各疾患領域における現況と展望~

難治性虚血性潰瘍に対する血管再生医療

田中里佳

Pharma Medica Vol.39 No.12, 25-29, 2021

形成外科・皮膚科領域で診療する創傷のなかで,最も治らない創傷が難治性虚血性潰瘍である。動脈硬化により下肢から足趾への血流が不十分になると,潰瘍が生じて難治性となる。糖尿病や閉塞性動脈硬化症による足潰瘍患者は,食生活や生活習慣などの変化,高齢化に伴い増加の一途を辿っている。難治性虚血性潰瘍の治療で重要なことの1つは,創部の血流確保である。既存の治療として薬物療法,カテーテル治療による血行再建術やバイパス手術などが存在するが,これらを行っても十分な血流改善が得らない場合は四肢切断に至る例もある。特に重症下肢虚血患者では,診断後1年以内に20%以上が大切断に至り,切断後のquality of life(QOL)低下もさることながら,5年生存率20%と生命予後も悪い1)。潰瘍が悪化し,切断となる場合の予後はきわめて悪く,患者のQOL向上,生活困難性・医療費負担の軽減,早期の社会復帰のため,難治性潰瘍を改善し,切断を防ぐ有効な治療法の開発が切望されている。下肢の切断を余儀なくされる難治性虚血性潰瘍患者に対する新たな血管組織再生治療法として,血管内皮前駆細胞を用いた治療が注目されている。
「KEY WORDS」難治性虚血性潰瘍,血管内皮前駆細胞,血管再生,MNC-QQ細胞,創傷治癒

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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