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特集 アトピー性皮膚炎 Basic & Clinical, Perspective

アトピー性皮膚炎における難治性かゆみのメカニズム

鎌田弥生冨永光俊髙森建二

Pharma Medica Vol.39 No.7, 15-21, 2021

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)は皮膚の乾燥とバリア機能障害により,種々の炎症と強い瘙痒を生じる皮膚疾患である。かゆみは「掻破したいという欲望を引き起こす不快な感覚」と定義され,掻破により外部異物(昆虫,寄生虫,植物など)を除去するための生体防御反応であり,身体の異常を知らせるアラームの一種である。AD患者の皮膚はかゆみ過敏状態にあり,衣服の擦れなど軽微な刺激に容易に反応してかゆみが誘発されるアロネーシスや,ヒスタミンなど通常のかゆみ刺激で過剰に強いかゆみを生じるハイパーネーシスと呼ばれる現象が認められる1)。かゆみは掻破を誘発し,掻破は炎症を惹起して皮疹を悪化させ,皮疹の悪化がさらにかゆみを増強する「かゆみと掻破の悪循環(itch-scratch cycle)」に陥る。この悪循環に陥ると,かゆみによる不眠,心理的負担(うつ,不安,自殺念慮)の増加,勉学・労働障害などの一因となり,患者のquality of lifeは著しく低下する2)3)。したがって,ADの治療には,かゆみのコントロールが必要不可欠である。本稿では,ADにおけるかゆみの機序について,①ヒスタミン非依存性のかゆみ,②皮膚バリア機能低下と表皮内神経線維,③神経-免疫コミュニケーションに着眼して概説する。
「KEY WORDS」ヒスタミン非依存性のかゆみ,表皮内神経線維,かゆみ過敏,神経-免疫コミュニケーション

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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