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特集 ロボット手術の新たな展開

空気圧駆動を用いた手術支援ロボットの開発

只野耕太郎川嶋健嗣

Pharma Medica Vol.39 No.4, 41-44, 2021

手術支援ロボットの市場は2025年には1兆3千憶円に達するとの予想があり1),さなざまなロボットシステムの研究開発が進んでいる。最近,本特集号でも紹介されている国産の手術支援ロボットが実用化されたことが話題となっている2)
筆者らは,2003年から低侵襲な外科手術を支援するロボットの開発に取り組んでいる。同ロボットの操作において,安全性向上のために力覚提示が有効であるとの外科医からの指摘が研究開始の契機となった。筆者らは,空気圧の直接駆動を活かした精密制御の研究に長年取り組んできたことから,その制御技術を活かせると考えた。
試作したロボットを医師に評価いただき,次の試作を行う形で研究開発を進め,大学での研究として一段落した2007年から企業への技術移転を目指した。複数の企業に興味をもっていただいたが,リスクが高いこと,当時は市場が大きくなかったことなどから,成就に至らなかった。そのようななかで研究を継続していたところ,2012年に文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクト(STARTプロジェクト)に応募しないかという話をいただき,採択されたことを契機に2014年に東京工業大学ならびに東京医科歯科大学発のベンチャー企業リバーフィールド株式会社を設立し,開発を進めた3)
本稿では,大学発ベンチャーで開発を行っている空気圧駆動を用いた手術支援ロボットを簡単に紹介する。
「KEY WORDS」手術支援ロボット,空気圧駆動,力覚提示

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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