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特集 神経難病の今~疫学・成因・治療の研究最前線~

パーキンソン病

波田野琢服部信孝

Pharma Medica Vol.39 No.3, 9-14, 2021

パーキンソン病は寡動,振戦,筋強剛といった運動症状が前景となる神経変性疾患である。頻度はアルツハイマー病に次いで多いとされているが,加齢が発症リスクに関連しており,超高齢社会へ突入したわが国において頻度は爆発的に増えることが予想されている。本疾患は,中脳黒質緻密部に存在するドパミン神経細胞の変性脱落によるドパミン不足によりパーキンソニズムを引き起こすことが病態の中心である。そのため,治療としてはL-ドパ製剤を中心としたドパミン補充療法が主体となる。しかし,病変は全身の自律神経,脳幹諸核,嗅球および大脳皮質と広範囲に広がるため,運動症状のみならず,自律神経機能障害,睡眠障害,精神症状,認知機能障害などの非運動症状が問題となる。本疾患は神経細胞内のレビー小体の存在が病理学的な特徴であるが,この凝集体の主な構成蛋白はα-シヌクレイン(AS)である。すなわち,ASの凝集が本疾患の病態メカニズムとして重要であると考えられる。ASの凝集機序やAS病理の進展様式を明らかにし,本疾患の病態の全貌を解明し,疾患修飾療法の開発へつなげることが焦眉の急である。このコンセプトから,凝集型ASの分解,AS凝集抑制,ASに対する抗体治療などの治療戦略が展開されている。本稿では,超高齢社会におけるパーキンソン病における問題点と治療メカニズムに基づいた疾患修飾療法の展開についてまとめる。
「KEY WORDS」黒質神経細胞,α-シヌクレイン,プリオン仮説,脂質代謝異常,ライソゾーム

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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