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特集 腸内細菌と全身疾患

Ⅱ腸内細菌と代謝疾患

腸内細菌と肥満症

杉山和俊入江潤一郎伊藤裕

Pharma Medica Vol.38 No.12, 41-45, 2020

ヒトの腸内細菌が有する遺伝子数はヒト細胞の100倍にも及び,また腸内細菌が腸管内で産生する代謝産物が宿主の臓器にさまざまな影響を与えることが近年明らかになり,腸内細菌が共生する腸管腔内は独立した内分泌・代謝器官と理解されるようになってきた。肥満症患者の腸内細菌叢に関しても多くの集団で検討がなされ,肥満症患者に特定の菌種は発見されていないが,細菌叢全体の菌の豊富さ(多様性,diversity),遺伝子の数(gene richness)が少ないことなどが明らかになっている1)。この変化が肥満症の病態を修飾しており,また肥満症の治療にも関与していると考えられるようになっている。
「KEY WORDS」Metabolic endotoxemia,腸管バリア機能障害,短鎖脂肪酸,分枝鎖アミノ酸,胆汁酸

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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