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特集 腸内細菌と全身疾患

Ⅱ腸内細菌と代謝疾患

腸内細菌とDOHaD学説

宮本潤基渡辺啓太木村郁夫

Pharma Medica Vol.38 No.12, 37-40, 2020

近年の腸内細菌研究の発展により,成体における腸内細菌の変化やそれに伴う腸内細菌代謝物の変化が,代謝性疾患,免疫系疾患,神経系疾患や末梢組織におけるさまざまな病態と密接に関与することが科学的根拠に基づいて明らかにされている。成人期における健康の維持や疾患の発症は,成長過程におけるさまざまな環境因子への曝露だけでなく,胎児期や乳児期の母体の栄養状態が大きく影響を及ぼす,DOHaD (Developmental Origins of Health and Disease)学説が提唱されて以降,乳幼児期の子供の健康状態や,妊娠期間,授乳期間における母体の栄養状態が成人期における疾患発症リスクと関係があることが示唆されはじめている。本稿では,母体の腸内細菌の変化が,出生後の子供の将来的な疾患発症に及ぼす影響に関する最新の知見を,われわれの研究成果とともに概説する。
「KEY WORDS」腸内細菌,母胎連関,エネルギー代謝,DOHaD学説

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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