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特集 高齢者動脈硬化予防の新展開

高齢者の脂質異常症治療と包括的リスク管理の重要性

南学

Pharma Medica Vol.38 No.10, 39-42, 2020

脂質異常症は動脈硬化性疾患の最大の危険因子の1つであり,高齢者において最も適切な治療と管理が必要な疾患である。平成29年患者調査では,わが国の脂質異常症患者の推計は現在約220万人で,そのうち約3分の2が65歳以上の高齢者である。
高齢者においても,総コレステロール(TC),LDLコレステロール(LDL-C),non-HDLコレステロール(non-HDL-C)と冠動脈疾患発症には正の相関があり,年齢によらずスタチンによる脂質低下療法の冠動脈疾患再発予防(二次予防)効果が認められ,前期高齢者では冠動脈疾患や非心原性脳梗塞に対する脂質低下療法の一次予防効果も認められている1)。後期高齢者については一次予防効果のエビデンスは十分ではないが,近年,未治療の日本人後期高齢者高LDL-C血症患者を対象としたEWTOPIA 75試験において,エゼチミブによる脂質低下療法が複合心血管イベント初回発生を34%抑制したことが報告され2),高齢化が今なお進む現在,健康長寿社会の実現のため喫緊に明らかにすべき臨床的課題の1つといえる。
「KEY WORDS」高齢者,脂質異常症,危険因子,包括的リスク管理

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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