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特集 糖尿病性腎臓病(DKD)Basic & Clinical up-to-date 2020 ~進化するDKD治療~

Ⅱ 糖尿病性腎臓病 Clinical 2020 ~Current and Future Therapeutic Strategies~

新規DKD治療薬としてのASK1阻害薬(selonsertib)への期待

足立恵理村越真紀合田朋仁鈴木祐介

Pharma Medica Vol.38 No.9, 63-67, 2020

糖尿病性腎臓病(diabetic kidney diseases:DKD)は,わが国において末期腎不全に至る割合が最も多い原疾患である。DKDの発症・進展には,持続する炎症や酸化ストレスなどを含め,さまざまな因子が関与すると考えられている。しかし,いまだ病態に即した特異的な治療法はなく,血糖,血圧,脂質などの包括的な管理のみである。
ASK1(apoptosis signal-regulating kinase 1)は,酸化ストレスなどによって誘導されるストレス応答性キナーゼであり,MAPK(mitogen-activated protein kinase)経路の最上流に位置する1)。ASK1の活性化は下流に位置するJNK(c-Jun N-terminal kinase)やp38 MAPKを活性化し,アポトーシス,炎症,線維化を誘導する。多くの急性・慢性腎疾患でJNKやp38 MAPKの活性化が認められ,疾患の発症・進展に関与すると考えられている1)-3)。適度なストレス応答は恒常性維持に重要であるが,過度なストレス応答は疾患の発症原因(ストレス応答機構の破綻)になりうる。
活性酸素を減少させたり,抗酸化能を高めることで酸化ストレスを軽減させる治療戦略は,明らかな有効性が認められなかった。以上より,酸化ストレス経路の下流に存在する,より特異的な分子に焦点が向けられている。本稿では,ASK1を標的とした低分子阻害薬であるselonsertibの腎保護作用とDKD患者を対象に行われた第Ⅱ相臨床試験の結果4)について概説する。
「KEY WORDS」selonsertib,ASK1阻害薬,糖尿病性腎臓病

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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