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特集 CKDの病態理解と新規治療法開発の現況

腸内細菌叢と慢性腎臓病

菊地晃一阿部高明

Pharma Medica Vol.38 No.5, 37-40, 2020

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は成人の8人に1人が発症する国民病である。CKDが進行すると,やがて透析療法が必要となる末期腎不全(end stage renal disease:ESRD)に至る。ESRDでは患者のQOLが著しく低下するだけでなく,医療費の面からもESRDへの進展抑制は喫緊の課題である。さらに,CKDはESRDの前段階というだけでなく,CKDの段階から健常人に比べて脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患の発生率も増加する。減塩やたんぱく質制限といった食事療法や降圧薬による血圧管理がCKD治療の中心となっているが,依然としてESRDに至る例は多く,既存の治療に加えて新たな治療法の開発が求められている。近年,CKDの病態および進行に腸内細菌叢の関与が明らかになっており,腸管と腎臓の臓器連関として「腸腎連関」が注目されている。本稿では,腸腎連関に着目したCKDの新規治療法の可能性について述べる。
「KEY WORDS」腸内細菌叢,慢性腎臓病,尿毒素,糖尿病性腎臓病,フェニル硫酸

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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