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一目でわかるクリニカルレシピ

高齢者と眼疾患

桐生純一三宅沙紀蜂谷祐子遠藤陽子市川和子

Pharma Medica Vol.37 No.12, 54-57, 2019

生活習慣病のような全身疾患と同様に、眼にも年齢と共に病気が生じてきます。
代表的な疾患として白内障、緑内障がありますが、近年日本でも増えている加齢黄斑変性と呼ばれる病気があります。
加齢黄斑変性とは、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気です。
加齢黄斑変性には大きく分けて「萎縮型加齢黄斑変性」と「滲出型加齢黄斑変性」の2つの種類があります。日本では、欧米人と異なり、滲出型が多いのが特徴です。
<症状>変視症(中心部のみ歪み、周辺は正しく見える)、視力低下、中心暗点、視覚異常。
<治療>治療の目的は、脈絡膜新生血管の拡大を抑え退縮させ、視力を維持あるいは改善することです。
萎縮型の加齢黄斑変性では、現在のところ治療方法はありません。
滲出型の加齢黄斑変性では、
①薬物治療・・・脈絡膜新生血管の発生には血管内皮増殖因子 (vascular endothelial growth factor:VEGF) が関係していると考えられており、VEGFを阻害することで脈絡膜新生血管を退縮させる治療法です。
②光線力学的療法・・・ベルテポルフィンという光感受性物質を点滴し、その後に非常に弱い出力の専用のレーザーを病変に照射する治療法です。
加齢黄斑変性について諸外国の治療ガイドライン、国内の治療状況を調査し、わが国における標準的な治療方針が考案され、前駆病変、萎縮型加齢黄斑変性に対しては、禁煙や食生活などの生活習慣改善と抗酸化サプリメントによる予防的治療を、滲出型加齢黄斑変性の中心窩を含む病変に対しては、典型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖の病型別に、抗血管内皮増殖因子薬、光線力学的療法、両者の併用療法を用いた治療を推奨治療として組み込み、治療後の経過観察と追加治療についても記載されました。
(髙橋寛二,他.厚生労働省網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班加齢黄斑変性治療指針作成ワーキンググループ.ガイドライン 加齢黄斑変性の治療方針.日本眼科学会学会誌.2012;116:1150-5を参照)
食事、運動、睡眠、ストレス、喫煙などの生活習慣に関わりがありますので、生活習慣を見直し、抗酸化作用があるビタミン類、ミネラル、フラボノイド類など栄養素をサプリメントも含めて食事からも十分に摂って不足させないことが重要です。
加齢黄斑変性になっていない人にもサプリメントは勧められます。一方の目に加齢黄斑変性を発症している人は、強く勧められています。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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