<< 一覧に戻る

特集 地域包括ケアと在宅医療

在宅医療を支える病院の役割

大原昌樹

Pharma Medica Vol.37 No.11, 31-34, 2019

病院は,地域医療構想による医療政策や診療報酬などによる誘導により,急性期,回復期,慢性期などの機能分化を促されるとともに,地域包括ケアの推進策として,それぞれに在宅復帰率(在宅の定義や復帰率の基準は病床の種類により異なる)が求められている。今後も,地域包括ケアの推進,在宅重視,医療費適正化の政策のもと,在院日数短縮,在宅移行を促す方向で進むと考えられる。特に,地域医療構想と診療報酬において,病床の機能分化・削減・集約化が促されている。
入院医療,在宅医療の利点・欠点などの特徴を表に示す。入院医療と在宅医療は,一般的に対立軸で捉えがちであるが,実際は相補うものである。入院,退院支援,日常の療養支援,急変時の対応,看取りの各場面で在宅主治医と病院の連携が求められる。一人の患者において,発病から看取りに至るまで,入院医療と在宅医療の両方を経験する場合が多い。また,積極的に在宅看取りを行っている医療機関においても,すべての患者を在宅で看取ることはできない。どちらかに固執することなく,お互いの利点,欠点,地域の状況などを把握したうえで,本人・家族が適切な判断ができるように支援することになる。
在宅医療や在宅看取りを希望しそれが適切と思われる患者でも,入院や病院への通院を繰り返しながら,最期は,入院で看取りを迎えることも多い。これは,病院と在宅の連携がまだまだ不十分なことが背景にある。在宅医療介護連携推進事業などにおいて,病院と在宅,施設との連携,入退院支援ルールの策定などに取り組んでいる地域も増えているが,このように地域での連携の仕組みづくりが重要である。
在宅に移行しない理由・背景として,病院の医師・看護師・地域連携室など医療スタッフの在宅医療に対する認識や情報不足の面がある。また,患者・家族は主治医が代わることは見放されたと感じること,在宅生活に対する不安もある。多くの患者は,急性期の入院医療から出発することが多く,これらの課題解決が適切な在宅医療導入につながる。
「KEY WORDS」在宅医療,在宅療養支援病院,在宅療養後方支援病院,在宅医療介護連携

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る