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特集 血友病診療の新たな展開

保因者診療の重要性

西田恭治

Pharma Medica Vol.37 No.5, 45-48, 2019

本特集が編まれるように,近年の血友病診療の進歩は著しい。たとえば,筆者が学生時代の成書では血友病患者は成人まで存命することは稀とあったのが,今や年間出血ゼロを成し遂げている患者も多く,平均余命も健常者とほとんど変わらなくなった。とりわけ若年患者はスポーツの制限もなくなりつつあり,生活の質(quality of life;QOL)の改善は目覚ましい。それに比べて,保因者の状況は身体的にも精神的にも放置されたままであったと反省せざるを得ない。しかし,保因者を取り巻く環境が前世紀から一向に変わっていないという危機感が,最近になってようやく高まりつつある。まずは,血友病に関する成書に保因者ケアに関する項目が設けられることが当然のこととなってきた。それまでは,遺伝学的用語である保因者に対する解説はあったものの,ケアにまで及んだものは少なかった。また,保因者問題の啓発のための機会は増えつつあり,さまざまな形の啓発用ツールも現れ始めた。医療者が保因者に対する配慮に気付くことによって,血友病の包括的医療を目指す医療機関に保因者相談の窓口ができ始めたことも今までにない特筆すべきことである。本稿によって,保因者診療の重要性をさらに認識していただき,多くの医療者に血友病包括医療の一環としての保因者診療に取り組んでいただければ幸いである。
「KEY WORDS」保因者診断,保因者健診,確定保因者,推定保因者

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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