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特集 血友病診療の新たな展開

血友病治療における非凝固因子治療薬の開発と臨床的応用

野上恵嗣

Pharma Medica Vol.37 No.5, 31-34, 2019

血友病の治療の原則は,血友病Aは第Ⅷ因子(FⅧ)製剤,血友病Bは第Ⅸ因子(FⅨ)製剤の定期補充療法である。その結果,血友病性関節症の発症が抑制され,健常児とほぼ同等の日常生活が可能になった。一方,製剤の頻回経静脈投与とそれに関わる血管確保の問題,製剤投与後に発生する同種抗体(インヒビター)が現在の血友病医療の重大課題として挙げられる。これらの課題克服に対し,新たなコンセプトをもつ非凝固因子治療薬が開発された。ヒト型bispecific抗体(エミシズマブ)は,抗原結合部位の片方に活性型第Ⅸ因子(FⅨa),もう片方に第Ⅹ因子(FⅩ)が結合することにより,活性型第Ⅷ因子(FⅧa)機能を代替する治療薬である。臨床試験では著明な出血抑制効果を示し,2018年3月にわが国で認可された。現在,先天性血友病A患者の出血抑制における定期投与として使用されている。また,凝固・抗凝固機能のポテンシャルを均衡に保つ“Rebalance coagulation”の概念として,抗アンチトロンビン治療薬と抗TFPI(tissue factor pathway inhibitor)抗体製剤が開発された。本治療薬は血友病AとBが対象となり,現在臨床治験中である。これら新規非凝固因子治療薬はいずれも皮下投与であり,インヒビターの有無に関係なく止血管理が可能となり得る。本稿では非凝固因子治療薬(特にエミシズマブを中心に)について概説する。
「KEY WORDS」血友病A,非凝固因子製剤,bispecific抗体,si-RNA,抗TFPI抗体

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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