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特集 喘息診療Update 2019

喘息病態研究におけるトピックス

中島裕史

Pharma Medica Vol.37 No.3, 23-27, 2019

近年,気道上皮細胞が物理的・化学的バリアとして生体防御に機能するだけでなく,外界からのさまざまな刺激に反応して種々のサイトカイン・ケモカインを産生し,自然免疫および獲得免疫の始動・活性化に重要な役割を果たしていることが示された。2型免疫応答の誘導においても,アレルゲンやプロテアーゼなどの刺激を受けた気道上皮細胞から産生・放出されるIL-25,IL-33,thymic stromal lymphopoietin(TSLP)などの上皮由来サイトカインが重要な役割を果たしていることがマウスモデルの解析より明らかとなっている。上皮由来サイトカインによる2型免疫応答の誘導機構の解明も進み,TSLPは主に樹状細胞の活性化を介してTh2細胞の分化を誘導すること,IL-25とIL-33は,Th2細胞,NKT細胞などの獲得免疫系の細胞に加え,2型自然リンパ球(group 2 innate lymphoid cell;ILC2)に作用し,IL-5,IL-13などの産生を誘導することが明らかとなった。ILC2とTh2細胞は相互刺激により2型応答を増幅することも明らかとなっている。さらに最近,上皮由来サイトカイン-ILC2経路の抑制機構の研究も進んでいる。本稿では,喘息病態研究のトピックスとして,近年明らかになりつつあるIL-33-ILC2経路の抑制機構に関して,われわれのデータも含め概説したい。
「KEY WORDS」気管支喘息,IL-33,自然リンパ球,抑制機構

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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