特集 喘息診療Update 2019
リアルワールドでの喘息コントロールと喘息死の動向
Pharma Medica Vol.37 No.3, 9-12, 2019
わが国の喘息予防・管理ガイドライン(Japan asthma prevention and management GuideLine;JGL)では,患者の症状を目安に治療ステップを変更し,コントロール良好を目指すことを推奨している1)。JGLは3年ごとに改訂されてきたこともあり,疾患啓発,病態理解および喘息治療における吸入副腎皮質ステロイド(inhaled corticosteroids;ICS)とICS/LABA(long-acting β₂ agonist)配合薬の普及により喘息患者のコントロールはおおむね良好となってきている。しかし,長期管理薬による治療を受けていても生活の質(quality of life;QOL)が低い“コントロール不良”重症喘息患者が一定数存在している。欧米では過去10年間における重症喘息の急性増悪(発作)頻度や喘息死数にほとんど改善が認められていない2)。わが国で減少してきた喘息死数は2017年には増加している3)。適切な長期管理薬による治療でも“コントロール不良”重症喘息と喘息死は,喘息診療の重要なアンメッドニーズである。本稿では,わが国の喘息コントロールと喘息死の現状について概説する。
「KEY WORDS」喘息死,重症喘息,コントロール不良,アンメッドニーズ
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