<< 一覧に戻る

特集 ビヨンドコレステロール時代の動脈硬化リスク管理

Atherogenic hypertriglyceridemiaの分類と成因

及川眞一

Pharma Medica Vol.36 No.10, 15-22, 2018

高トリグリセリド(TG)血症が動脈硬化惹起性であるか否かについては多くの議論がなされてきた。日本では以前より高TG血症が動脈硬化性疾患の危険因子であると考えられてきた。一時,Framingham研究で否定的な成績が示されたことから,欧米では高TG血症の重要性についての問題意識が低い時代があった。そのようななかでも脂質仮説として,LDLを中心とした問題については多くの議論がなされ,高LDL血症に対する治療学は今日,ほぼ確立された。しかし,動脈硬化性疾患に対するLDL-C低下療法は30~40%に効果を認めるに過ぎない。したがって,今日,その他のリスク(「残余リスク」と呼ばれるが,「LDL以外のリスク」と理解される)に対する意識が高まってきた。このようななかから,高TG血症の動脈硬化惹起性についての議論が深められるようになった。高TG血症を示すリポ蛋白代謝異常はLDL受容体の役割で説明される高LDL-C血症に比し,複雑である。それは高TG血症はいわば表現型であり,その背景には種々の因子が存在することによる。本質を理解せず,単に高TG血症といった脂質値のみに注目することでは問題の解決には至らない。ここでは「動脈硬化惹起性高TG血症」といった観点から,その要因についてまとめてみたい。
「KEY WORDS」高TG血症,動脈硬化惹起性リポ蛋白,分子ターゲット,リポ蛋白代謝

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る