特集 糖尿病治療薬の循環器系への作用~その光と影~
ピオグリタゾン
~心血管イベント抑制効果を中心に~
Pharma Medica Vol.36 No.6, 37-40, 2018
2型糖尿病はインスリン抵抗性を基盤としており,慢性的な高血糖により心血管イベントをはじめとするさまざまな合併症を発症する。ピオグリタゾンは核内受容体PPARγのアゴニスト作用を介して,インスリン感受性を亢進させることで,血糖降下作用を発揮する。ピオグリタゾンはインスリン抵抗性改善のみならず,脂質異常症の改善や抗動脈硬化作用といったさまざまな薬理作用を有している。一方で,ピオグリタゾンは体重増加や浮腫,心不全発症といった副作用が懸念され,特に心疾患既往を有する患者に対する処方は躊躇されるケースもある。しかし,ピオグリタゾン心血管疾患既往を有する2型糖尿病患者における脂質異常症の改善効果とともに心血管イベント抑制効果など豊富なエビデンスをもつ糖尿病治療薬であり,むしろ心疾患既往を有する患者には積極的に使用すべき薬剤である。懸念される副作用も,適切な対応を講じることで増悪することなく安全に使用可能である。本稿では,ピオグリタゾンの特に循環器系への作用機序,心血管イベント抑制に関するエビデンス,処方時の注意点について解説する。
「KEY WORDS」ピオグリタゾン,PPARγ作動薬
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。