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特集 プリオン病:その実態に迫る

プリオン病の治療

坪井義夫藤岡伸助

Pharma Medica Vol.35 No.2, 55-58, 2017

プリオン病は,蛋白質性の感染因子によって発症する神経変性疾患である。その他の神経変性疾患と同様,脳内への変性した異常蛋白の蓄積が,疾患の発症と進行に関与していると考えられている。プリオン蛋白は,正常プリオン蛋白(PrPC)と異常プリオン蛋白(PrPSc)に分けられ,その違いは蛋白の高次構造にある。プリオン病で脳内に蓄積する異常蛋白は,PrPScである。蛋白質が正常に機能するために必要なアミノ酸の折り畳み(フォールディング)が正常に行われて生成されるPrPCはαヘリックス構造を呈しており,アミノ酸の折り畳みがうまくいかず(ミスフォールディング)生成されるPrPScはβシート状構造をなしている。PrPCは人間の体内に広く発現しており,特に中枢神経と末梢神経の神経単位膜に存在する。プリオン病においては,PrPCからプロテアーゼ抵抗性のPrPScへの構造変換が主病態と考えられている1)。
「KEY WORDS」プリオン病,治療,抗体,幹細胞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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