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特集 がんのバイオマーカー:さらなる早期発見と的確な治療薬選択を目指して

線虫嗅覚を利用した早期がん診断の可能性

広津崇亮

Pharma Medica Vol.34 No.11, 33-38, 2016

がんの早期発見には,がんを高精度に識別できるバイオマーカーと,それを微量でも検出できるセンサー,その両者の開発が重要である。現在,今後有用なバイオマーカーになる可能性を秘めたさまざまな分子が報告されている。そのなかの1つに,がんの「匂い」がある。臨床現場ではがん患者には特有の匂いがあるといわれており,がん探知犬を用いた研究により,がん特有の匂いの存在はほぼ認知されている。匂いを高感度に検出できるセンサーを開発できれば,がん組織が小さいうち(早期がん)に,臓器の裏にあるとみえにくいといった画像診断の欠点を克服する形で,がん早期発見システムの確立が可能である。匂いセンサーとして,われわれは感度,選択性ともに人工機器の性能を凌駕する生物の嗅覚に注目し,それを用いたがん診断法の開発を進めている。本稿ではその技術の可能性について紹介したい。
「KEY WORDS」線虫,嗅覚,生物診断

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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