特集 がんのバイオマーカー:さらなる早期発見と的確な治療薬選択を目指して
がん細胞由来細胞外遊離DNAの最新の知見と肺がんへの臨床応用
Pharma Medica Vol.34 No.11, 29-32, 2016
肺がんの治療は,epidermal growth factor receptor(EGFR)-チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ゲフィチニブなどの分子標的治療薬の台頭によって大きく変化した。承認後,治療効果予測因子としてEGFR遺伝子の活性化変異が発見され1),変異陽性患者に対する画期的な治療効果が報告されて以降,同様のドライバーがん遺伝子異常を起点とした新薬の開発が進んでいる。一方で,ほぼ2年以内に分子標的治療に対する耐性が出現する。耐性獲得後であっても腫瘍から組織を再生検できれば,遺伝子解析により耐性機序を解明し,機序に応じた有効な治療を選択することも可能である。しかし,繰り返し侵襲的な生検をすべての患者に行うことは不可能であり,末梢血などのリキッドバイオプシーを用いた診断が期待されている。そこで新たな手法として,血漿中細胞外遊離DNA(cell-free DNA;cfDNA)を用いた解析も,非侵襲的な遺伝子診断法として臨床応用が進みつつある。本稿では,cfDNAによる遺伝子診断や治療効果予測についての最近の研究を紹介する。
「KEY WORDS」リキッドバイオプシー,細胞外遊離DNA,クリニカルシークエンス,EGFR
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。