「はじめに」21世紀における救命救急の切り札として登場したドクターヘリは,2015年2月末現在,36道府県で44機が活動しており,全国を網羅するドクターヘリ体制の完成も間近に迫っている1)(図1)。ドクターヘリは重症患者に対して早期に救命医療を開始するための医師デリバリーシステムであり,救急専門医による迅速かつ高度な医療を現場から提供できるようになった結果,救命率の向上,後遺症の軽減,逸失所得の回避,入院日数の削減,医療費の削減などをもたらし,病院前救急医療の高度化を達成した。そこで本稿では,わが国において,ヘリコプターを活用した救助・救急体制を一層促進することを目的に,ドクターヘリとは,消防防災ヘリとは,東日本大震災におけるヘリコプター救急活動,ドクターヘリと消防防災ヘリの連携体制をいかにして構築するか,につき述べる。
「KEY WORDS」ドクターヘリ,消防防災ヘリ,災害医療,防災基本計画