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特集 救急医療:現状と課題

日常医療を支える救急医療 超高齢社会と救急医療:民間救急車の活用など

Emergency medical system in the super aged society.

猪口正孝

Pharma Medica Vol.33 No.3, 9-12, 2015

「Ⅰ.救急搬送体制崩壊の危機」「医療崩壊」が叫ばれたのは2006年頃のことである。当時医療崩壊の現場は救急や外科,産科などの急性期医療を担う病院であった。医療崩壊に歯止めがかかったとはいえない現状において,今度は病院前救急が危機に瀕している。東京都のケースをもとに考えてみる。東京消防庁によると東京消防庁救急車出動件数は,過去最高であった2013年の約74.9万件を上回り,2014年の速報値で757,609件に達した1)。搬送人員でみれば2005年に64万件強のピークを記録した後,2009年の約58万件まで減少傾向にあったが,2010年から上昇に転じている(図1)。原因ははっきりしていないが,背景にある都民の急速な高齢化が救急搬送件数増加の主因と考えられている。65歳以上の高齢者の搬送件数は1998年には約14.8万件で全搬送件数の30.9%にすぎなかったのに対し,2011年には約29.3万件と約2倍に達して45.9%を占めるに至った2)。今後東京は高齢化のスピードを緩めることなく,2035年まで高齢者人口は増加の一途をたどる推計が示されており3),高齢者の増加は救急搬送体制や二次救急病院にとって深刻な問題となっている。
「KEY WORDS」超高齢社会,救急医療,民間救急車,病院救急車

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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